スコットランドのオークニー島。船の玄関口であるストロムネスにあるStromness Hotel。新しいオーナーがホテルでのアルコール販売を辞める発表をしたことがニュース記事になっていた。
Key Scottish hotel announces it will stop selling alcohol
「アルコールの販売は利益にはなるが、身体そして精神の健康を害する主たる原因ともつながる。この決定をすることで一人の命が救えるのならば、商業的な利よりもこちらをとります。」そういう発表であった。
これからは、こういう方向に社会は動いていくのだろう。
酒も煙草も同様に嗜好品には良い面と悪い面がある。悪い面を考えれば、嗜好品を愉しむ者、単にその個人の問題という訳ではないことも理解できる。健康面でも社会福祉的にも周囲環境に悪い影響を与える。それは簡単に言えば、酔っぱらいによる迷惑行為から病気になったことによる医療負担の増加、もちろん支える家族の精神的金銭的負担など様々だ。
しかし、酒を愉しむ者からすれば少し寂しい。
酒が豊かにするものも少なからずあることを主張してみたい。
みたいとは思うものの、それは簡単に論破されてしまう。おそらくこれを議題にし、勝つ方法はない。
という事で早々に考えるのもやめたw。
2005年、このホテルに宿泊した。冷たい石造りのホテル。踊り場からの階段中二階の壁には第2次世界大戦で撃ち込まれた弾丸の跡が残っていた。良い印象を持たれないかもしれないが暖かくはない。冷たい空気が歴史をも飲み込んだ静寂を演出した雰囲気のあるホテルだった。写真はその時に撮ったもので、地元のおじちゃんが横切っている姿が良くて、気に入っている一枚(自画自賛である)。
酒を売らない決定をした新オーナーは、今後スパやヴィーガン・ベジタリアン用のお料理、フローラルハーバルドリンクもオプションに加えていくという。
まるで007スペクターで、ボンドがはじめてマドレーヌを訪ねたホフラー診療所みたいではないか(笑
全然わたしが記憶しているストロムネスホテルの雰囲気と合わない…。ハーバル云々言ってないでマティーニ出してくれよ…(;´д`)トホホ
オークニーは他の島やハイランドのような荒涼とした雰囲気ではなかった。山がなく、岩の地肌の厳しさも見えず、青々とした草原が続く明るい島だった。風も穏やかに丘を吹き抜けていた。普通、スコットランド本土はサーソーからストロムネスまでのフェリーを使うところ、我々はギルズベイからセントマーガレッツホープに渡った。このおかげでオークニーを大きく縦横断することができた。気持ちのいいドライブだった。
ハイランドパーク蒸留所は広々としていて、たくさんの木製のウォッシュバック(発酵槽)がやはり印象的だった。ピートの香りは前年に訪ねたアイラ島のそれとは全く違い、軽やかで温かく、なんだか食べられそうな良い香りだった。
散漫なブログとなってしまった。
言いたいのは、肩身の狭い酒呑みに言い訳なんてないのだ、という事かもしれない。