レンタルビデオ屋さんでビデオを借りるのが好きだ。動画配信サービスが充実しすぎている昨今。しかし、色褪せたビデオ陳列棚の中の小さなピックアップコーナーを見て知らない映画を発掘する感じがいい。それは本来本屋さんでも同じだ。たくさんの背表紙を前に、勘で一冊引き出してみる。目次と前書きにサラっと目を通し「出会った!」と思えるワクワク。書籍も本屋さんで購入したい。古本屋さんなんか最高だ。
と、今回の話は映画である。しかし、レビューではないことをご了承いただきたい。
ふと目に入った「イーディ、83歳 はじめての山登り」。山登りは好きなので手に取ってみると“ロンドン”の文字が。ということはイギリス映画だろう。とすると舞台はスコットランドになってくるはず!と、一瞬で計算した私の頭の中w。
イギリスの高い山のほとんどはスコットランドにある。高いといっても最高峰1344m。日本の百名山の中に1380m以下の山は3つしかないw。身近でいえば、武甲山より40m高いだけだ。ちなみにイギリスの山・上位56位まですべてスコットランドにある。よって、イギリスで山登りの話=スコットランドが舞台だろうと容易に想像されたのだ。
映画のプロットはシンプル。夫の介護から解放された、ちょいと気難しいおばぁさん。かつての夢だった山登りの挑戦の中、若者と心を通わせながら自らの本当の幸せと喜びを得ていくといったストーリー。
スコットランドラヴァ―としては是非見て欲しい映画だ。
スコットランド・ハイランド地方でも西方沿岸のLochinverという町がロケの中心になったようである。そこが拠点となり登ることのできるスイルベンという山が、映画の中でイーディが目指す山である。映画の中でodd mountainと言われていたが、荒野からおどろおどろしく現れ出たような姿をしている。
この山の頂上を目指し歩いていく景色が素晴らしい。スコットランドならではの湿地の道とヒースの大地、小さな湖、そして風。すべてがThe Highlandである。映画の最後の景観はまさに息をのむ。
映画の話はここまでである。
Lochinverは本当に小さな港町で、日本人が足を運ぶことはほとんどないだろう。ウイスキー蒸留所も沿岸にひとつもないので通り道にもならない。歴史的にもドラマティックな出来事がない。古代はノルウェー(ヴァイキング)の影響下にあり、18世紀にはハイランドクリアランスの影響を受けというくらいしか、今回少し文献を見ただけだが分からなかった。
ピンぼけしている↑。2018年にスコットランドに行った際、ルイス島からの帰りにわざわざドライブで北上し訪ねたことがある。本当はスイルベンを見たくて目指した地だったが、下調べが足らず山が見られる道を通らなかった。それでも素晴らしいドライブであったし、Lochinverの町の小さな佇まいは強く印象に残っている。
スイルベン、登ってみたい山のひとつになった。
スコットランドでは一度スカイ島のQuiraingに途中難易度の高いコースを選んで登ったことがあるくらい。日本とは全く違う軽登山。おもしろかった。この話もいつかブログにしてみよう。