落馬_病院編その2

落馬して、入院が決まったところまで書いた。そのままガッと続けよう。

前2つのお話はこちら→①「落馬したこと」②「落馬_病院編その1」

入院が決まり、病院内をバタバタと移動させられ、やっと自分の病床についた。殿も仕事に出なければならず、病院からの借り物で衣服その他を賄った。床についてからしばらくはどうしようもない痛みを感じているのみ。

大変なことを知るのはこの後だ…。

人生初の病院食を口にし夜になる。救急病棟のせいかテレビはなく、ただ静かにベッドの上に横たわっている。これから我が身にどんなことが起こるのか、ある程度の想像はしつつ”ある行動”に出た。

「トイレ」である。

さて、どうしたものか。まずは看護士さんに車椅子をお願いする。そのまま私がベッドから車椅子に移るのを看護士さんが介助してくれる。

「うーっ…痛すぎる…」一気に脂汗が出てきた。1ミリしか動いてないくらいで激痛がはしる。全くベッドから動けない…。

「ごめんなさい…ちょっと触れられるだけでも激痛で…。どうにか一人で車椅子に移ります…」

と、せっかく手を貸してくださった看護士さんに一度戻っていただいて、自分で車椅子に移ったらまた呼び鈴を鳴らし来てもらうことに。

とにかくちょっとづつちょっとづつ身体を捻りズラしていく。ミリ単位の攻防である。身体を進めつつ、痛みを最小限にしたいのだ。

30分以上かけてやっとのことで車椅子に乗れた。かなり疲労した。脂汗もひどい…。

いよいよトイレだ。先が思いやられる。これが想像されたので何となく水分摂取も控えめになっていた。尿意や便意を催していたわけではなかった。が、先にしておいた方がいいだろうと思われたことと、もう一つ大事なミッションがあったのだ。どうしてもトイレに行かねばならないことが…。

ここから先は、前述したとおり恥を忍んで記すことになる。特に男性には分かりづらいかもしれない。がしかし、分かってくれ(笑

こんなこともあるのか、という一つの情報として記憶の片隅にでもとどめていただければ幸いである。

女性にはお月様☽がついてまわる週がある。骨折したこの時、私にもちょうどお月様☽がついていた。乗馬という運動をするにあたり、お月様☽とのお付き合いを考慮した私はタンポポ❁を身体に植えていた。

そしてこのタンポポ❁を摘むことがミッションであった。

車椅子に移っただけでこれだけの激痛と疲労である。このミッションがかなり困難なものになるのは、この時点で明白となった。

車椅子を看護士さんに押してもらい、手摺り付きのお手洗いに入る。ここからはまた一人だ。

まずは車椅子から立ち上がらねばならない。これはどうにか出来た。それから、病院着のズボンおよび下着を下げる…。

「ぎゃーーーーーーーーっ!無理ーっ、無理…。痛いーーーー‼(ToT)/~~~」両手でズボンを掴んで下に下げることが出来ない。どんな動作をするにも背中が動かされる。折れた肋骨に直接響いてくるのだ。

どうする、私…。トライはしてみる。が、出来ない…。脂汗を溜めたまま、ズボンが下げられず立ちすくんでしまった。

いっそ、看護士さんを呼んでズボンと下着と下げてもらおうか…。

と思ってはみたが、それは出来なかった。まだ羞恥心が勝っていた…この時は。

片手は手摺りをきつく握り、できるだけ背骨を動かさないように立ちながら、痛みをこらえ、ちょっとづつ左右のズボン・下着を下げていった。お尻の辺りまで下りたところで便器に座り込む。そこからは座ったまま、背骨を固定しつつ腰を浮かせ、その瞬間に少しづつズラしていき膝のあたりまでズボンを下げようという方法に。

なんとか下がった……。が、痛すぎて頭が痛い、そして暑い、苦しい…。脂汗が…。

ミッションへとりかかるスタート地点についたのだが、すでに死にそうだ…。

いよいよタンポポ❁を摘む…。

「いやーーーーー!無理や―――――!背中が丸まらん。どうやったって無理ーーー(ToT)~~~」

とにかく激痛なのだ。激痛以外に言いようがない…。

この時の私にとって背中を丸めるという動作は、自らで自らの生傷をえぐっているのと同じなのだ。

「うぉーーーー(´Д⊂ヽ…。でもミッションはコンプリートせねば……。」そう、このミッションだけは絶対に人にお願いできるものではないのだ。倒れてでもやり遂げねばならなかった…。

脂汗が身体中からダラダラと流れ落ちる…。痛みに耐えることからくる暑苦しさに息も絶え絶えで、だんだん頭がのぼせてくる。気を失うんじゃないかと思われた。

Mission Completed……I did it !

しかしもう動けなかった。しばらく座ったまま、ただ流れ出る脂汗をふくことも出来ずに放心状態……。それからまた腰を浮かせながらズボンと下着を上げようと試みたのだが、力尽きてしまっていた…。

ここで私は看護士を呼ぶことにした。ズボン・下着を上げてもらうのだ、もう羞恥心など言っていられなかった…(~_~;) 

ベッドから車椅子へ30分以上

トイレで45分ほど

車椅子からベッドへ20分。

キツかった……。

ズボンをあげてくれた看護士さんは、わたしが酷く汗をかいていることに驚き「すぐに着替えましょう」と新しい病院着を用意してくれ、身体をふいてくれた。看護士が天使たる所以はここらあたりにある。本当に有難かった。

これ以降タンポポを摘むことは無かったし、トイレでズボンを上げてもらうことも無かったが、退院するまでずっと同じような感じであった。”ベッド―車椅子”移動が一番しんどかったが、とにかくどんな些細な動きも全て肋骨に響き痛みを伴わせるものだった。

とまぁ、入院中一番きつかったことを書いた。これがどうしても書いてみたかったことである。

7日間の入院は、これを除けば概ね快適に過ごせた。お風呂こそ入れなったが、身体を拭いてもらったり、髪を洗ってもらうこともできた。

多少仕方ないとはいえ、病院でも恥ずかしいことが多かった。この経験をふまえて、私が学んだのは

1,下着は見られてもはずかしくないものを身に着けておく。いつ、怪我をするやも分からない故。

2,お月様☽がついているときの乗馬は、タンポポ❁を植えない。敷物だけで済ます。もしくは乗馬をしない。

 

退院した。車に乗る。すると、カーブで曲がる、赤信号で止まる。それだけで激痛だったw そして久々に殿とまともに話す。すると笑いも出るが、これがまた痛い…。以降、お笑い番組は厳禁なほどキツかった。

と、退院後もいろいろ苦労が尽きなかったw

↓は、退院日、笑ってはいけないのに、笑いを堪えきれず悶絶した私である。

 

この落馬の話は、もうしばらく続けよう。

次は、休養から乗馬復帰、トラウマ⁉恐怖、その辺りのことを書いてみたい。

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