ツッチーボトルのアラン

ひさびさに新しいウイスキーを開栓した。

元々何本かはいつも開いており、ハイボールにしたりちょっとした肴と合わせて気軽に呑めるようにしてある。ただ最近そのお酒の減りが少々早い。

Q.何故か。A.母である。

肺を患っている母だが、このごろ寝酒に1杯だけ楽しむようになったのだ。体調の良さも相まってか美味しく感じるし、眠りがいいという。そんな母は舌だけは確かで、テキトーにバーボンなど出そうものなら「辛い・強い」と言い、良い熟成をしたシングルモルトやオールドのブレンデッドなどを出せば「美味しい」という。さらに長熟のモルトや、ミシェルユアールなどのカルバドスを出した時には「ちょっとだけおかわり」とまで言ってくるw。

現役時代に少しだけ買い集めたウイスキーがある。特級時代のウイスキーや特級直後のものは、これまでも気楽に開けて呑んできたけれど、シングルモルトについては中々開栓できずにいる。それぞれに思い入れが強く、開け惜しみとでも言おうか。それでも今後少しづつ開けて呑んでいきたいとは思っているのだが…。

そして今回久々に開けたのがツッチーボトルだ。

tsuchiee…’s choice,  Isle of Arran,  distilled 95,  bottled 04

当時のスコ文研(スコッチ文化研究所)からオリジナルボトルとして発売されたもので、土屋代表個人で所有していた樽を詰めたものだと記憶している。その時から皆「ツッチーボトル」と呼んでいた。

販売直後にもテイスティングしているし、その後も折々いろいろな場面で呑んできたこのウイスキー。数年ぶりに自分で開けて呑んでみた。

「こんなに美味かったっけ…」

驚いた。すごくいい。

かつての記憶だと“アルコール感がまだ強く、酒質は良いけどそれ以上の印象らしい印象を持てない”といった感じだった。ただ今回は様々なフレーバーが押し寄せてくる。香りのアルコール感は多少抜けていないが、これはしばらくしたら落ち着くだろう。口に含むとドライフルーツの杏子の感じや、黄桃と紅茶、舌の上に苦みの強いキャラメルソースとマジパンも残るような、すごく複雑になってる!そして所謂アレである「瓶熟感」だ。ボトリングから15年以上である。ちょっとした瓶熟のエステリーな風合いが、口に含んだ時に胸をキュンとさせる。

開け惜しんでいたのが功を奏したととでも言えようかw。

先にも書いたように、開け惜しみをしながら先に開けているボトルというのは優先順位が低いとも言えよう。そういう意味でこのツッチーボトルも思い入れが少し弱かったのかもしれない。すまない元ボスよ。あ、スコ文研はしばらくお世話になった元職場である。そして代表の土屋氏は私のボスであった。このボトルを他のウイスキーと篩にかけ早々に開栓してはしまったが、ボスの所で働いていた時が私の人生上一番楽しかったことは間違いない。これを述べて、プライオリティの下においたことの謝罪としたいw。

さて、しかしこの調子で呑んでいると全て無くなってしまいそうである(笑

ネットで目ぼしいカルバドスでも買うとするか。

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