内モンゴルにウイスキー蒸留所

「蒸留所まるまる中国へ輸出」というタイトルの記事が目に入った。

また中国がなんかしよる…。

と、軽い偏見から記事に目を通した。要は中国に新しいウイスキー蒸留所が出来るということなのだが、その方法が驚きで、スコットランドからまるまる蒸留所を持ってこよう!という…。

中国の大企業Mengtaiグループと、スコットランドForfarにあるValentine internationalという企業が2019年、300万£(45億円以上)で契約した「設計から建設まで」という内モンゴルでの蒸留所設立計画の一場面で、35トンにも及ぶ蒸留所設備のパーツがスペイサイド・バッキ―のマレイ湾から中国は天津の港に向かって出発したというのだ。

運ばれたのは、ポットスチル(蒸留釜)からコントールバルブ、1.3kmにも及ぶ配管たち、そしてflooringなどが含まれるという。(この場合のフローリングは文字通り床材のことなのか、それとも製麦をするフロアモルティングのための設備なのか。この記事からだけでは判断がつかなかったが…。)

これら蒸留所の装置を造ったのはもちろんフォーサイス社。ウイスキーの聖地スペイサイドのど真ん中ローゼスで、1世紀以上スコットランド中の蒸留所を支え続け、今や英国内のクラフト蒸留所だけでなく世界中の蒸留所から引っ張りだこの金属加工企業だ。日本に続々と生まれている蒸留所のスチルもフォーサイス社製ばかり。今回、この出航に5人が同社から駆り出され現地での設置に立ち会うという。その後も香港に置くフォーサイス社のチームが、製品のサポート、バックアップを提供する。

至れり尽くせりだ。

蒸留所を設立するMengtaiグループ社の主なる生産は石炭と電力。内モンゴルでの初めてのウイスキー生産になるし、ウイスキーベンチャーとしても中国で最大級になる。今回このウイスキー業界への参入で、世界に通用するウイスキーを生産することを目標としている。それを叶えるためにValentine international社が白羽の矢を立てたのがフォーサイス。フォーサイス一択だったという。Valentine international社は英中をつなぎ中国におけるベンチャー企業設立を後押しする。社長のValentine氏も内モンゴル・オルドスの地に世界を圧倒するプロジェクトが出来ると自信満々なよう…。

ウイスキーは本来地酒であってほしいという気持ちがある。きっと、スコットランドから最高の資材を入れ、モンゴルの水と製法で生まれるウイスキーはモンゴルの地酒になってくれることだろう。そう期待し、将来呑める日を楽しみにしよう。

生産は今年2021年末からを予定しているようだ。

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