グレートデーンと一緒に御岳山へ

何とも言えぬ表情ではないか（笑）左馬之助としては「何なん⁉この乗り物。」とでも言いたいところだろう。

東京を代表する霊山、御岳山。御犬様信仰のこのお山にも登ってみたいと前々から思っていた。

私にとって御犬様信仰といえば、大好きな秩父の神社たちがあげられる。三峯神社、宝登山神社、武甲山の御嶽神社。尤も、この御嶽神社は1300mの登山を伴うので中々ハードな参拝だ。この三社の狼狛犬様を目にすると、如何ともしがたい胸のとどろきがある。

（三峯神社なら大輪表参道脇の狼狛犬、奥宮の狼狛犬。宝登山神社なら奥宮。武甲山は一の鳥居の脇の狼狛犬。本当に感動のお姿である。）

この御岳山ではどんな狼狛犬さまにあえるだろう。

おいぬ様信仰。大口真神といわれるニホンオオカミを崇めるこれらの神社。秩父の三社も、この御岳神社もかつての武蔵の国。日本武尊が東国を平定し碓氷峠へと向かう中、この武蔵でおいぬ様は、邪神を退治してくれたり、正しい道を案内してくれたり、また火事から身を守ってくれたりした。これらの神社ではそのおいぬ様たちが大切に今でも崇められ、三峯や宝登山は、今でも絶滅したニホンオオカミへのお供え物を山の中にご奉納しにいくという。大切に信仰される御犬様。その狼狛犬様の姿に心を打たれるのだ。

ご本殿の渋い狼狛犬さま

拝殿前の立派なお姿の狼狛犬さま

さて我が御犬様たちとの御岳山である。4月の半ば、前日まで暑い日が続いていたが、ちょうど雨予報。気温もそんなに上がりそうにない。左馬之助の体力が不安なところではあるが、行きは滝本駅から参道を登ることにした。

アスファルト舗装された歩きやすい道だ。御岳山駅までは大きな杉の並木道。おかげでこの時の小雨もしのげた。暑い日も涼しいかもしれない。

途中の祠に足を止める左馬之助。興味津々に中を覗いている。仏様のほかに何かみえているのだろうか？

参道は、古の人々が今どの辺りを歩いているのか、わかりやすく名を付けた道標がある。くねくねが続くので「ろくろ首」、尾根道が続く「大黒の尾」、面白いのは「あんまがえし」。昔あんまさんが、登りの道中、平らな道が続くものだからここが山頂だと勘違いし引き返したというもの。これら一つひとつを確認しながら登っていくと、飽きがこない。

良いハイキング道だ。個人的には杉の根の造形美に魅入られた。

人が少ないことをわざと狙って登ったこの日。案の定、頂上の武蔵御岳神社についても2組しか人がいなかった。大きな犬連れとしては、狭い場所や急な階段や坂がある場所での立ち回りが非常に気を遣うところ。非常に過ごしやすかった。

晴天ならではの眺望は楽しめなかったが、靄と霧雨とが頂上全体を包み幻想的。拝殿も、そしてご本殿や大口真神のお社も、まさに畏敬の念を抱かされる、そんな雰囲気だった。

我々の参拝は済ませ、事前に調べていた「犬形代」。名前を書き入れ、その犬の良くなってほしい所をさすって、悪い気を祓うのだ。

左馬之助は特に悪い所はないが、ずっと元気でいてもらいたいので全身くまなく撫でつける。

メインは、うちに来てまだ2週間のおときである。皮膚病がひどく、いつも”カイカイ”と掻きまわるので、全身の痒みがよくなるようにと願いながら身体をさすってあげた。

雨もあがってきて、段々と人の姿も増えてきた。お昼ちょっと過ぎ、左馬之助の体力が限界なのでまだ帰る人も少ないケーブルカーを利用することに。

ケーブルカーの利用には犬の大きさは関係ないようで、非常に助かる。

ちょいと緊張している。身体が硬いｗ　後ろの3か月の柴ちゃんは好奇心いっぱいｗ

グレートデーンを連れての御岳山。ハイキングするところとしてはアクセスも抜群で、登山道も歩きやすい。見どころも多く、また必ず訪ねたい場所となった。ただし、行く際は人の多さだけは考慮していかねばならないだろう。今回の様に雨模様の平日は狙い時。むしろ雨の日だとしてもこれだけ楽しめるのだ。逆に最高の行楽になる。

ひとつだけ残念だったのは、山頂からぐるりとロックガーデンを廻るハイキングは、グレートデーン連れには無理だったことだ。特に七代の滝をまわろうと思うと不可能である。まず道が細く、すれ違う人を危険に晒してしまうこと。傾斜も強すぎて足の長い犬にはリスクが高い。七代の滝からロックガーデンへむかう梯子なんて絶対に無理だ。中型犬くらいまでなら、若い運動大好きっ子なら大丈夫か…。ロックガーデンもところどころ飛び石があり、大型犬には難しいだろう。

しかし、とにかく御岳山は良い。参道を歩き、頂上社へ向かう中も、山頂の武蔵御嶽神社でも、昔から大切にされた、人々の生活に入り込んだ霊山なんだと感じさせられる。犬にとっても人間にとっても大事な場所に、一緒に行けるのだ。

今度はおときが良くなったという、お礼のための参拝をしよう。